(重要通信の確保)
第八条 電気通信事業者は、天災、事変その他の非常事態が発生し、又は発生するおそれがあるときは、災害の予防若しくは救援、交通、通信若しくは電力の供給の確保又は秩序の維持のために必要な事項を内容とする通信を優先的に取り扱わなければならない。公共の利益のため緊急に行うことを要するその他の通信であつて総務省令で定めるものについても、同様とする。
2 前項の場合において、電気通信事業者は、必要があるときは、総務省令で定める基準に従い、電気通信業務の一部を停止することができる。
3 電気通信事業者は、第一項に規定する通信(以下「重要通信」という。)の円滑な実施を他の電気通信事業者と相互に連携を図りつつ確保するため、他の電気通信事業者と電気通信設備を相互に接続する場合には、総務省令で定めるところにより、重要通信の優先的な取扱いについて取り決めることその他の必要な措置を講じなければならない。
電気通信事業法施行規則
(緊急に行うことを要する通信)
第五十五条 法第八条第一項 の総務省令で定める通信は、次の表の上欄に掲げる事項を内容とする通信であつて、同表の下欄に掲げる機関等において行われるものとする。
通信の内容 | 機関等 |
一 火災、集団的疫病、交通機関の重大な事故その他人命の安全に係る事態が発生し、又は発生するおそれがある場合において、その予防、救援、復旧等に関し、緊急を要する事項 |
(1) 予防、救援、復旧等に直接関係がある機関相互間 (2) 上記の事態が発生し、又は発生するおそれがあることを知つた者と(1)の機関との間 |
二 治安の維持のため緊急を要する事項 |
(1) 警察機関相互間 (2) 海上保安機関相互間 (3) 警察機関と海上保安機関との間 (4) 犯罪が発生し、又は発生するおそれがあることを知つた者と警察機関又は海上保安機関との間 |
三 国会議員又は地方公共団体の長若しくはその議会の議員の選挙の執行又はその結果に関し、緊急を要する事項 | 選挙管理機関相互間 |
四 天災、事変その他の災害に際し、災害状況の報道を内容とするもの | 新聞社等の機関相互間 |
五 気象、水象、地象若しくは地動の観測の報告又は警報に関する事項であつて、緊急に通報することを要する事項 | 気象機関相互間 |
六 水道、ガス等の国民の日常生活に必要不可欠な役務の提供その他生活基盤を維持するため緊急を要する事項 | 上記の通信を行う者相互間 |
(業務の停止)
第五十六条 法第八条第二項 の総務省令で定める基準は、次のとおりとする。
一 次に掲げる機関であつて総務大臣が別に告示により指定するものが重要通信を行うため他の通信の接続を制限又は停止すること。
イ 気象機関
ロ 水防機関
ハ 消防機関
ニ 災害救助機関
ホ 秩序の維持に直接関係がある機関
ヘ 防衛に直接関係がある機関
ト 海上の保安に直接関係がある機関
チ 輸送の確保に直接関係がある機関
リ 通信役務の提供に直接関係がある機関
ヌ 電力の供給に直接関係がある機関
ル 水道の供給に直接関係がある機関
ヲ ガスの供給に直接関係がある機関
ワ 選挙管理機関
カ 新聞社等の機関
ヨ 金融機関
タ その他重要通信を取り扱う国又は地方公共団体の機関
二 前号の場合において、停止又は制限される通信は、重要通信を確保するため必要最小限のものでなければならない。
(重要通信の優先的取扱いについての取り決めるべき事項)
第五十六条の二 電気通信事業者は、他の電気通信事業者と電気通信設備を相互に接続する場合には、当該他の電気通信事業者との間で、次の各号に掲げる事項を取り決めなければならない。
一 重要通信を確保するために必要があるときは、他の通信を制限し、又は停止すること。
二 電気通信設備の工事又は保守等により相互に接続する電気通信設備の接続点における重要通信の取扱いを一時的に中断する場合は、あらかじめその旨を通知すること。
三 重要通信を識別することができるよう重要通信に付される信号を識別した場合は、当該重要通信を優先的に取り扱うこと。